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末期日記新装版
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こちらが日記二本目になります。
というか、最初スキー旅行記の前フリ話で書いてたお話が長くなったから二つに分けたんだね。
全く何をしているんだか………

 
一方、自宅がそんな騒ぎになっているとも知らない妹さんは、帰って来てから、
「おみやげー」
と差し出して来たものは、栃木限定レモン牛乳。
風呂上がりに飲んだら美味かった。でもうざきにはレモンというよりプリン味に感じたけどなー
なんでも、わざわざ栃木までコスプレ撮影しに行ったんだとか。
妹さんは、レイヤーなのだ。
ついでに妹さんは餃子狂徒なので、宇都宮で餃子食べたか尋ねたら、残念ながら、方向が違うんだとさ。
大変悔しがる妹を尻目に、ふっと思いついた小さなコネタ。
栃木と言えば、宇都宮。宇都宮と言えば、餃子。誰もが知ってるその名産品。ならば、こんな事があったのかも………
 
 

 東北本線は、東京から青森まで、の主要都市を繋ぐ一本の路線であり、1891年(明治24年)の全線開通以来、日本最長の鉄道路線であり、東京駅 - 黒磯駅間は、旅客営業規則が定める「東京近郊区間」に指定されている。そうして、主に上野駅を発着する黒磯駅までの中距離列車の運行区間には、国鉄分割民営化後の1990年(平成2年)3月10日から「宇都宮線」という愛称路線名が付けられた………
(byウィキペディア)

その前日………
高崎が、姿の見えない相棒をあちこち探し、ようやく、上野駅のホームのベンチでぼうと己の路線表示を眺める相棒を見つけた時には、既に終電も終わった頃だった。
「なあ、こんな寒い所で何してんだよ!探しただろ!」
三月の初めと言えばようやく昼間は少しは暖かいが、夜ともなれば冬と変わらずに冷え込む。
現にこのふきっ晒しのホームは震えが来る程に寒く、相棒を見つけた高崎としては、さっさと退散して、暖かい部屋で相棒の祝いをしてやりたい。
そう、祝いだ。
自分の相棒は明日から新しい名前に変わる。いや、変わるのではなくて、名前が増えるのだが、その名前が、自分と対の名前のようで、高崎としては大変嬉しい。
今までは、自分は”高崎”ー都市の名前
相手は”東北本線”ー地方名
どうしたって、相手の方が格上っぽい。
いや、本線が名につく相手の方が、路線の格としては確かに上なのだが、生まれてこのかた一緒にやって来た相手にそういう意識を抱いた事は無い。それでも、名前だけは密かにコンプレックスというか、
………上官達みたいにお揃いっぽいのが良かったなー
とちょっと自分の上官とその片割れを羨ましく思っていたのだ。
だが、自分の相棒はどうも名を変えられるが気に入らないらしい。それが決定されてからというもの、表向きは淡々としつつもおかしな言動が増えて来た。
そうして、明日から名称変更という日にした雲隠れ。
やはり、長年なじんだ名前を変えられるというのは不愉快なのだろうというのは分かる。相棒が、己の名と存在に絶対の誇りを持っている事は重々承知している。
だが、彼の本当の名前や本質が変わる訳ではない。あくまで、新しい名前は愛称。京浜東北や埼京と同じようなものだ。
(あだ名みたいなもんだろう、何が気に入らないんだ……)
自分は、その名前を聞いたとき、嬉しかったのに。
寒いホームのベンチでぼうとする相棒は、自分の言葉に返す事も無く、只、自分の本名の最後を看取ろうとでも言うかの様に視線を離す事無く、見つめ続けている。
「なあ!帰ろうぜ!鍋用意してんだよ、鍋!」
暖かいの食べてさー明日に備えようぜ?お前きっと明日大変だ。
 
そりゃ大変だろう、名称が変われば誤乗も増えるだろうし、戸惑った乗客の問い合わせだって対応だって増えるに違いない。
それに、元気の無かった相棒をどうにか元気づけたくて、高崎は奮発したのだ。
「なあ!?」
それでも答えない、自分の方を見もしない相棒に、とうとう、高崎は今まで聞けなかった事を聞いてしまった。
「お前、そんなに、新しい名前、イヤなのか?」
相棒がこれだけ嫌がっているというのに、それを喜んだ自分は、もしかして、相手を傷つけてしまっただろうか?
だから、相棒は自分を見もしないのだろうか?
自分を見ない相棒など初めてでどうして良いか分からずに途方に暮れる。
だが、自分に出来るのは、只一つ。
相手の側にいる事。
だから、それをするだけだ。
また、冷たい風がホームを吹き抜けて、高崎が思わず身を震わせてしまったとき、
「高崎」
相手が自分の名を呼んだ
「おう」
自分はそれに返事をする。
当たり前の事だ。だが、名前が無くては出来ない。
かつて自分達には己達を明確にわける名が無かった。
だから、自分も相手も明確に別れていなくて曖昧だった。
自分を造った人が初めて自分に”高崎”という名を付けて、名を呼んだとき、自分達ははっきり別れて二人になった。
二人になったら、一人じゃない。
お前と俺は違う存在。
だから、助け合える支えあえる笑いあえる。
名を呼び合う。
二人じゃなきゃ出来ない。
それが嬉しかった。
相手にも名前が出来た時はようやく相手の名を呼べる嬉しさで何度もしつこく繰り返し呼んで、嫌がられたものだ。
それから………何年経っただろう。
この国がどう形を変えようと、人々がどう姿を変えようと自分達はここにいる。
変わらずに、二人で………
名前なんか、どう変わったって、お前はお前だろう?
真っすぐな高崎に、根負けしたのか口を開いた宇都宮は
「ねえ、高崎、君、僕の新しい名前聞いて………何、想像する?」
「へ?」
意外な事を聞いて来た。
「だから、僕の新しい名前の街の名前聞いて、一番最初に、何思い出す?」
「あ、えーと……」
正直、相棒の新しい名前を聞いて思い出す産物や事柄など、あまり無い。あえて思い出すとすれば……
「……餃子、かな?」
むかし、連れて行かれた時に、妙に餃子屋が多くて、ついでにどこの店も美味かった。
「そう、僕の新しい名前が決まったとき、僕もまず第一にそれを思い出したよ………」
くくくと、その時の事を思い出したのか、空しく笑っていた相棒は、だが、次の瞬間
「僕の路線は他にも都市も駅もいくらでもある。なんなら終点の黒磯だって良いじゃないか!」
よりにもよってどうしてあの街の名前なんだ!!
………爆発した。
珍しい、相棒が、マジ切れしてる。
いや、無いとは言わないが、これ程あからさまなのは初めて見るかもしれない。
「お陰で僕は、その後会う人会う人皆に言われるよ!」
ああ、あの餃子で有名な所ね!!
思いの丈をブチ撒けて、息を切らせる相棒に唖然としながら
「なんで餃子はだめなんだ?」
当たり前の事を、聞いてみた。
はっきり言って、そんな事で、いつも冷静なこの相棒がこれ程激こうするとは思わなかった。
だが、高崎のそんな困惑を他所に、相棒は………
「だって、ニンニクくさいじゃないか」
僕には全然相応しくないね。
ふん!
吐き捨てるように、鼻を鳴らしてそう言った。
そんな姿も、大変珍しいが、そんな事よりも、今高崎が、思っているのは
……………お前、最初の俺の心配返せ。
忘れていた、コイツはとっても………
見栄っ張りの格好付けなのだ。
 
確かに、コイツの感覚では、餃子でニンニクくさい車内など、許容範囲外だろう。それを思い起こさせる名前もイヤかもしれない、だが、餃子に罪は無い。食べ物に罪は無いだろう。
「お前、餃子、嫌いかよ……」
「好きだよ、でもそれとこれとは話が違う」
つーんとそっぽを向いてこちらを見ない相棒は、こう言うときとっても子供っぽい。
そういう態度は、今は自分の上司となった、自分の路線を走っていた特急とそっくりで、おもわず頭を撫でてやりたくなる。
だが、きっとそんな事すれば、またいつものごとく腹の底の見えない笑顔で、高崎が二三日は立ち直れないような嫌みと嫌がらせを言ってくるだろうから我慢する。
代わりに………
「俺、好きだぜ」
本当の気持ちを伝えてやる。
相手が目を見開いて、もの凄い勢いでこちらに顔を向けた。
そんなにビックリするような事だろうか?
あまりに最前と違う相手の態度に少々ビビりながら、言葉を続ける。
「餃子。お前が作るのも、あの街に食べに行ったのも」
だから、あの街も大好きだ。
「お前が、あの街の名前になるって聞いた時、楽しかったのと、美味かったのと両方思い出した。きっとこれから、俺と同じように思う人がいっぱい増えるんだぜ」
楽しみだな、”宇都宮”
「それに、お揃いみたいでいいだろう」
何にとは言わない、そんなの言わなくったて分かるだろう。
「”高崎”………」
「おう、”宇都宮”」
相手が自分の名を呼び自分が呼び返す。その名前は、
「………そうだね、お揃いだ」
噛み締めるように、微笑んで呟いた相手に、
「おうよ!」
ニッカと笑って、手を差し伸べた。
その手をしっかり握りしめられて引っ張られたから……
負けずに引っ張り返して、立たせてやった。
「……この馬鹿力」
呆れたように言う相手に、
「あ?お前がひ弱なだけだろ?」
にやりと返してやれば、
「………全く色気もなんにもないんだから
自分に聞こえないような小さな声でぶちぶち言う相手に
「なんだよ!」
問いつめたが、
「何でも無いよ」
もう、自分の相棒は、いつもの笑顔を浮かべて誤摩化してしまう。
ちぇー、ずるいヤツ……
「そんな事より、鍋でしょう?少しは良い具、用意してくれたんだろうね?」
肉ばっかりとかはご免だよ?
以前、自分の作ったものを持ち出して、からかう相手はもういつも通りの相棒だ。
「勿論だろう、今日はなー奮発したんだからなー」
そうやって、一つ一つ、奮発した具を上げて、それを相手がからかう。
いつも通りの自分達。
ならもう、大丈夫、俺たちは又明日から一緒に走って行ける。
嬉しい、楽しい。お前と一緒だ。
変わらない、俺たちは変わらない。
やがて、つまらない話も切れて暫く二人肩を並べて無言で歩いていると、相手が自分の名を呼んだ。
「高崎」
「なんだよ、宇都宮」
こちらを見ずに呼んだから、見て欲しくないんだと思って前を見たまま返事をする。
「これからも、宜しくね」
そんなコト、当たり前だろう。今更言われる事じゃない。でも、何だかそんな事が新鮮で、嬉しくて、でも照れくさかったから……
「おう、宜しくな」
照れ隠しに相手の背中をバンと叩いて、抗議の視線を向けた相手に……
ニッカと了承の印に笑ってやった。
 
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