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末期日記新装版
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 さて、一大イベントも混乱の中終了し、疲れ果てたのか、いつもなら余計な事言いの旦那様すら奥様の気遣いのお言葉に素直に頷く今日この頃、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
このネタが分からない方は、さえずった—のとある夫婦の会話を見て下さいね☆

さて、昨日の一大イベントに当たり、ふと魔が差したうざきさんは妹さんが大事に取っておいたカップヌードルをがめて……吉祥寺のマンキツに泊まり込んで、一番列車を見ようと目論みましたのでございます。
だって、自分の自宅からだと間に合わないんだもん。

そう、言い訳しながら吉祥寺で一番安いマンキツで一晩、自分の知らないうちに百合物になっていた大奥に浸り、夜明けと共に朝マックをゲットしていざ、東京駅へ。
各駅停車の中央様とまるで抱かれ隊のニョタ版のような前の座席の人に耐えながら、辿り着いた駅は……げ、人多い!
入場規制とかかかってないよね?とビクビクしながら、最大大手の新青森全通記念駅弁大会会場を横目に新幹線ホームに向かいます。
そして、記念入場券でも何でも無い普通の入場券を購入し(このとき変に手間取った)
急いで22番線に向かえば、そこは朝も早よから人人ぴっちゃん人ピッチャン。
そんな人々に負けじと一番列車の入線を待ち受け、やってきた回送車両がはやて11号に代わる瞬間をげっとして、辺りをぱしゃぱしゃ取っていたら……

勧進の出発式、見逃したんだな。

いえね、出発式って先頭車両の辺りでやるもんだと思ってたらね……
最後尾の方でやってたの

ばっかでー

三浦春馬に興味は全くないが、出発式を見に来た筈のうざきさんが見た物と言えば……

カメコの山と渋い車掌さんの背中と、からっぽのたにがわちゃんだけ。

聞けば、出発式はライブでNHKでやってたらしい。
アタシ、何時間とお金、無駄遣いしたんだろう……
空しさを抱え、ふらふらと中央様でお帰りになったうざきさんでした。

というわけで、以下はその悔しさから生まれたお話でございます。
ぱしゃぱしゃした写真を明日、これに貼ってやろー
コンチクショー

では皆様、お馬鹿なうざきは放っといて、良い週末をお過ごし下さい。

 昨日の湿った生温い空気とは違い、初冬の朝はひんやりしていてけれども、昨日の12月とも思えぬ天候の影響か、身を切るような冷たさには程遠い。
天はまだ暗さを残し、が高く澄んで彼方に一つまばゆい星が輝くのを望めた。
その星をちらと眺めてかつての新潟の星はホームに視線を戻す。
こんな時間にも関わらず、先のつばさが発車した後空になったホームは、今日の主役の到来をいまやおそしと待ち構える人々で一杯だった。

kaigyou9.jpg
 
各々、携帯から一眼レフまで己の武器を構えベストポイントに陣取る人々の中には熱が篭りすぎて、ホームから身を乗り出す者もいる。
 
熱心なのはよいが、うっかり転落してアイツの晴れの日を汚すなよ?
 
と内心訴えながら、線路の彼方にその姿が見えるのをじっと見つめる自分の視線も他より見れば彼らと同じような熱が込められているのだろうか。一つ首をふり、側にいたスタッフに目線で促せば、心得たスタッフは人波を避けながらさりげなく注意しに向かった。
kaigyou5.jpg

やれやれ、こちらでこの騒ぎなら、彼方ではどの位の騒ぎであろうか?
やがて黎明の中、ゆっくりとやって来た一番列車を見つめながら、
kaigyou2.jpg

気疲れに特別の時にしか着用しない礼服の襟を緩めたくなったが、隣で緊張に固くなって真っ直ぐに立っている小さな後輩の手間、それは出来ない。

この後輩の開業した時、この礼服を纏って共に立っていたのは違う相手だった。いや、その時だけでなく上野に延伸したときも、国鉄が民営化したときも、東京に延伸し仲間達が増えていったときも、常に自分の隣は彼だった。
彼が自分の隣にたたなかった式典など…彼の開業と自分の開業の式典だけだった。
 
だが、一番肝心な時に隣に立てなかった恨みは甚だしく、仕掛けた悪戯を目にし酢を飲んだようなお歴々の顔に少しだけ溜飲を下げたが、その後隣に立つ度ちらちら目に入るそれにその三倍くらい苛立った。

それは、その後どう言っても外さない相手に対する罪悪感ともう隣に自分がいるのに代役であるそれが未だそこにあるという嫉妬がないまぜのぐちゃぐちゃの感情で、結句、自分の仕出かした事に自分が一番傷つくというまあ、自分のような愚か者に似合いな結末なのだ。

人を呪わば穴二つ。とは良く言った物だ。彼の耳に開けた穴は一つなのに自分の心に開いた穴はとても二つでは足りはしない。いや、小さく開いた穴は無数の数でその内に一つにまとまり大きな虚ろとなって口を開き、餓えと乾きを醜く訴える。

それに比べれば今ここにいない彼の名代として自分達よりも一歩前で、出発式を眺める美貌の同僚の食欲など素直で可愛い物だ。彼がいつも眉を顰めるそれをだから自分は嫌いではない。今も熱心に今回の開業に当たりPRに起用された若い俳優を熱心に見つめているのは当人が目当てなのでなく彼の話す青森の食の魅力に惹かれるからであろう。

彼とは似ても似つかぬ俳優の白い顔に、今、彼方で同じように出発式に挑んでいるだろう彼の事を思う。今彼はどんな顔をしているだろう。そして、その耳には矢張りアレが光っているのであろうか。

いや、どんな顔もこんな顔も有りはすまい。どうせいつもの淡々としたさも真面目そうな顔だろう。だが、そんな一見真面目な男の片耳にあんな物が光っていれば、彼方のお偉いさん達は28年前のあの人々と同じような顔をするに違い無い。

だから、昨日、一足先に彼方に向かうという彼におざなりな風に見せかけた祝いの言葉を告げるついでを装って、それは外すようにと忠告したのだ。
しかし、彼は何を言っているのか分からないという顔でこちらを見返して、その必要は無いと首を振った。
そして、更に言を尽くして説得に当たろうとした自分に逆に問いかけた

どうして外さなければいけない。これがあるのが自分なのに、と

他人が何を言おうがどう思おうが、これが無ければ自分ではないのに、お前は俺に誰としてあそこに立てと言うのかと。

ー君は東北新幹線だ。
39年間待ち望まれた君としてそこに立ち走り出せば良い。

虚をつかれ、白紙になった意識からするりと言葉が零れ出た。捻た自分とも思えぬ言葉は、だが自分の本心だった。
だからこそ、28年の楔から解き放ってそれよりも長い間彼を待ちわびていた人々に彼を帰してあげねばならないのだ。彼本来の姿で。
だのに

ーそうだ、俺が東北新幹線だ。
だから、このままの俺であそこに立ち、走り出す。
 
他の誰が言っても傲慢のそしりを受けかねない言葉だ。だが、彼のその言葉は思い上がりの一つもなく、39年前計画された時より一歩一歩着実に努力と研鑽を重ねた実績に裏付けられた自信によるもので、だからこそ、一層その彼に自分が付けた汚点が、許せなかった。
悔しげに歯がみしながら、最早、実力行使あるのみかとタイミングを計る自分に、一転、眉根を寄せて
 
ーそれに、これがないと困る。
ああ言う場は緊張する。苦手だ。
ー正直逃げ出したくなる。だけど、これがあれば……
お前が、隣にいてくれるみたいで落ち着く。
 
何だそれは、嘘をつくな、何のまじないだライナスの毛布か、大の大人がそんなものに頼るんじゃない。いや、お前はもうそんな物に頼らなくても大丈夫なんだと、元々、そんな物いらなかったんだと次から次へとどうでも良い事は口をついて溢れ出るのに、本当の自分の気持ちはその言葉の奔流に隠れて自分でも分からなくなった。そんな自分の言葉をようよう遮ると、
 
ー違う、頼ってる訳じゃない。……と思う。ただ……

只なんだと、詰め寄る自分から、少し、顔を背けると

ーお前に、みっともないところを見せる訳にはいかないと思うだけだ。
お前の代わりのこれにかけて。
 
そんな言葉は、眉間の皺を増やして言う物ではないと思う。
しかし、他者からすれば、悔しそうな難しそうな顔に見えるだろうそれが、単に照れているだけだと分かるようになったのはいつの頃だっただろう。

39年前共に計画されてからずっと一緒にいた長い年月の中に埋没されてそれはもう朧だ。
では、こちらに向き直った視線に込められた熱を感じるようになったのは、いつの頃だっただろう。
それは、己の廃線を意識し始めた頃か地震に傷ついた頃か28年前共に開業出来ないと分かった頃か、或は……出会った頃からだろうか。

もう、それも分からない。

ただ、分かる事は……

ー明日、新青森からの最初の列車でこちらに戻る。だから……

待っていて欲しい。と真っすぐ告げられた言葉に頷く事は自分には許されないという事だけだ。

39年前、ならば、28年前ならば、頷けただろう、頷けたかもしれない。だが、最早年月が時代が自分達を分かちた。彼が分かっていないそれを自分は分かっている。それだけだ。
だから自分に出来た返事は

ーそれ、外したなら考えてあげる。
それがあるなら、僕はいらないでしょ?
 
それだけだった。
告げて背を向け、後はもう興味の無い風を装って実は懸命に後ろの彼の気配を探りながらその場を後にする。
彼の視線を痛い程背に感じる。それに苛立を感じながら、だが、彼が自分に向けている視線の熱に心に穿たれた穴み満ちる物を感じ、そんな自分が嫌でたまらなかった。
逃げるように足を速めた自分の背に向け、彼の呼ばう声がかけられた。

ー上越、お前は知らなかったのかもしれないが……
俺は、欲張りだったんだ。
ーこれも、お前も、両方いる。
思わず止まった足を再び動かす前に
 
開業祝いだ両方寄越せ。
 
今度こそ、間違いなく傲慢に言われた言葉に射抜かれて、その場に縫い付けられた。
えらそうにえらそうにえらそうに。
こんなの不平等だ。ただでさえ、相手の方がお祝いの数が多いのに、それをタテに取るなんて!
悔しさに拳を握りしめ、唇をきつく噛み締める。それでも奥底から沸き上がる何かを振り切るように、顔を上げると

ー欲張りは、嫌われるよ?東北上官殿
 
そう言い捨てて、彼に次に何かを言われる前に今度こそ、その場を去った。
 
どうして、彼に応えられるだろう?
やってきた一番列車に紅潮した顔で乗り込む乗客、嬉しそうにボードを手に記念写真を撮る少年達
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それを他所に車両に群がりシャッターを切る群衆、
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華やかな出発式。
待ち望まれた彼の向こう、ひっそりとまるで回送列車のように空っぽの自分の車両。
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ホーム二つ分よりも、3時間の時間よりも、遥かに隔てられた自分達。
緊張に固くなりながらも上気した頬を輝かせる隣の後輩が次にこの場で出発式を迎える時に自分の隣に立つのが誰なのかどころか、自分がどこにいるか存在しているかも分からないのに。
一時の希望を与えようとする彼はなんと残酷でそして……愚かなのだろう。
 
それでも、今、この同じ時間にレールの彼方で立つ彼の耳に、自分の言葉に反し、彼の言葉の通りに自分の代わりの小さな星が輝いていて欲しい願う自分程ではないだろう。

いつでも心はままならない。
 
だが、出発の声がしてくす玉が割られ、舞い落ちる紙吹雪の中、粛々と走り出した一番列車を見送りながら、あれと入れ違いに、こちらにやってくる彼方発の一番列車からこのホームに降り立つ彼の耳に、星のように光る物があって欲しいかは……
 
自分でも、分からなかった。

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