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末期日記新装版
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花火大会に辿り着かない日記にイライラしていらっしゃるだろう今日この頃、いかがお過ごしって……イライラしてるに決まってるじゃないか!
おまけに拍手のお返事も為に溜めちゃっているし……
うう、8月に入ってからの一つも返してないよー申し訳ありません。 無言ぽちもレス不要も大変ありがたく頂いております。なのでお詫びがてらに小話をお一つ投下。夏コミでお配りしたお詫びだるまるしおりのネタございます。実は最初書いたのは兄ートショックをひきづった独立したお話だったのですが、こちらに投下するにあたってお誕生日の二人をベースにした物にちこっと書き直しました。でもちょっとショックを引きずってますが、取りあえずお楽しみ下されば幸いでございます。


とある夏の日、高崎で花火大会があるというので、そういうイベントごとが大好きな高崎は何日も前から山手に頼んで縫ってもらった小さな浴衣を己の小さな相棒にうきうきとして着付けてやっていた。

「よっしだるまる!かわいくできだぞー」

「できたー?」

無駄に細かい山手作の白地に藍で柄の入ったの浴衣は大層可愛く

くるりとその場で回ってみれば一文字では無くおリボンに結んだ水色の帯がひらりと舞う。

至極愛らしい。

高崎は己の仕事の出来映えと小さな相棒の可愛らしさにご満悦で何度も頷いて
「さ、屋上行って一緒に見ようなー」
かまんべいべーと両手を差し出した。
だが、いつもなら喜び勇んで「ぐんまっていいなー」と飛びついて来るだるまるは…

「いかなーい」

ぷるぷると首?を横に振った。

がらがらがーら☆

その時高崎の耳に世界が終わる音が届いた。

その音は決して上司のスキー場の現状の音ではない…筈であった。

……

時を止めた高崎を他所に外の世界の時間は流れる。そうして、その世界が終わった部屋の時が再び動かしたのは
「高崎、花火始まるよー上官も、皆待って…あれ?」
カチャと音を立てて扉を開けた八高だった。遅い高崎を迎えに来たらしい。彼が部屋の中を見渡せば、どこかのボクシングアニメの主人公の如く燃え尽きて真っ白になった高崎と机の上でのーんびりぽよぽよ揺れている本日は浴衣のおかげでオレンジの少ない憎いヤツ。
「おやまあ、車両故障かい?」
魂が抜けたようになっている虚ろな目の前で、ひらひらと手を振ってやったが反応がない。
「おーいたかさきー」
返事も無い、只の屍のようだ。
「どーしたのかな?高崎は……」
小首をかしげて机の上でゆらゆら揺れている彼の相方に問うものの
「しらなーい」
小さなオレンジ色はにべもない。二人?がそんなやり取りをしていると八高が空けたドアの隙間から音も無く忍び寄る影がある。そうっと隙間から覗いた物体は初めて見る…いや、どことなく良く見たことのある色つやフォルムである…それはこんな場所でなく主に……八百屋さんの店先だ。
「なす!」
影の形を認めると、だるまるはぽよーんと机から飛び降り嬉しそうにぽむぽむと跳ねてドアまで行って
「はなび、なすとみるー」
たかさきといかなーい
八高にそう伝言を残すとドアの影の相手の手を取りとっとと行ってしまった。
ぽよんぽよんと遠ざかる足音?を聞きながら事の次第を理解した八高は
「おやまあ…だるまるってばいつの間に…」
呆れと関心が半分ずつ籠った声で感想を述べ、ぽんと高崎の肩に手を置くと、高崎はがらがらと音を立てて崩れて行った。
合掌


「……で、アレは何なの!」
「……なすです…」
「そんなのは見て分かるよ!だからなんで、なすなんだよ!」
要領を得ない会話に苛立った上越は手に持った空き缶を高崎に投げつけた。かーんといい音がして高崎のデコに当たって先ほどから傷心な男はまた成す術もなく床に沈んだ。


ここ高崎支社の屋上では職員路線総出で支度したにわかバーベキュー大会が佳境を迎えていた。始まる前と終わった後は忙しくなるが、始まってしまえば少しは余裕がある。終わるまでの短い間で入れ替わり立ち替わり手の空いた者が焼けた肉や野菜をつまみノンアルコールのビールで楽しもうという腹だ。

昔なら本物のビールだったが、今は就業中のアルコールは世間が五月蝿いので物足りないが仕方が無い。それでも雰囲気という物で人は酔う事も出来るので大分盛り上がれるし、しかも本日は彼らの(女)神たる上越が長野と仕事を切り上げて参加となれば、支社の98%がののしられ隊な高崎支社としてはこれを浮かれなくてなんとするである。

「まま、一つ」「まあ一つ」と我先にと、(敬)愛する酒飲みの上司に本物のアルコールを進め「長野の前で君たち何やってるの?」と一応先輩の威厳を保つため飲みたいのを我慢する上越が八つ当たりに絶対零度の視線で睨むのに、ああーんと失神する者が続出し、その度、仲間が引きずって退場させていた。

なので高崎が缶をぶつけられた時はそれをねたむブーイングの嵐と嫉妬で歯がみするぎりぎりという不気味な音が屋上を満たしたが、丁度響き渡った花火の音にかき消され、長野の情操教育には悪い影響を与えずに済んだようである。

その長野は純真に…というより人として当然の問いをする。
「あの、上越先輩…なすがどうして動くのですか?」
「そんなの知らないよ!高崎説明しろ!」
そんな事言っても今その高崎は貴方が沈めましたとは職員も長野も突っ込めない。
上越はと言えば、可愛く着飾った浴衣のだるまるをつつきながら花火を楽しもうと思ったのに、来てみれば可愛いオレンジ色は謎のなすときゃっきゃと花火と楽しんで、いつもなら上越に飛びついて来るのに見向きもしない。これを恨みに思わでなんとする!
「まま、上官落ち着いて…」とすかさず信越が焼き上がった肉を差し出したが…
「僕、ウェルダン嫌い!」ミディアムレアって言っただろ!
アッツアツの焼けたばかりの肉を顔に叩き付けられた。
しかし、それもののしられ隊No.5の彼の計算通り。己が身を賭しての罵られにきらきらと喜びの涙と鼻水を流しスローモーションで倒れながら志を同じくする同志達に親指を立てて見せた信越本線に、隊員達は己達に結成メンバーたる気概を示して倒れて行った遥か高みの勇者の罵られぶりに涙ながらに惜しみない賞賛の拍手を送った。
「上官、食べ物を粗末になさらない様に」
そんな阿呆にかける情けは無い上越線は倒れた男に見向きもせずに、叩き付けられ散らばった肉を拾ろい、かつての弟子であり今は上司にすかさず冷静に注意した。間違った事をすればこの男は過去などむろん関係無く上司であってもおかまい無しで、その事は上越も重々承知しているし容認しているのだが…視線に気まずそうに身じろぐと
「だ、だって、なすが……」
むーと口を尖らせ身を縮こまらせて訴えるが、この育ての親にはそんな言い訳など関係無い。この珍妙な出来事を
「なすとて、たまには動きたくなる事もあるでしょう」
一言で切って捨てた。
いや、どんなときだよ!このとき皆の心はきっと一つだった。だが、言えないそんな事を言えばどんな事になるか、分かり易すぎる未来に上越すら黙り込んだというのに…
「で、なすが動きたくなるのってどんな時?」
言った馬鹿イター!
いつのまに現れたのかAHAHAと能天気に笑いながらぽんと後ろから気軽に肩を抱いた馬鹿者に
「テメーみたいな阿呆をタタッ切りたくなる時に決まってんだろーが!」
上越線は想定通りの答えを返しながら触るんじゃねーとあっという間に懐から引き抜いた長ドスで斬りつけた。だが、相手もさるものひょーいひょーいと難なくよける。長野が思わず目を輝かせる程の鮮やかなフットワークだ。

「あ、上越上官、あのなすはですね、宇都宮のトコのなすなんですよ」
ぶんと頭上を一閃された刃をしゃがんで避けそのまま横に飛びながら八高はのんびりと説明する
「ハロウィーンの時に宇都宮が作って吊るしてたんですけど…その後放っておいてしなびかけたのをだるまるが高崎に頼んで外してもらって面倒見てやってたらしいんですね」
それでじゃないですか?動いてるの。
そう説明しながら「おっと!」後ろから入れられた突きをにょろと腰の動きだけで避ける。上越線が地団駄を踏んで矛盾する叫びを上げた。
「よけんじゃねー!余所見すんじゃねー!」
「ヤダなー僕はいつでも君を見てるじゃないかー」
「じゃー見るんじゃねー!!」
……そのままチャンバラに発展しそうな追いかけっこを誰も止める事はしない。だって、日常茶飯事だし。

それよりも、非日常の方が重要だ。確かに、だるまる自体が何なのか自分達には分からない。だから、これ以上不思議な事が一つや二つ増えた所で問題は無いのかもしれないし、だるまるにだってお友達が増えるのはいい事だ。botの会話数が増えるかもしれないし。だが……宇都宮の名前を出されては上越はこころ穏やかではいられない。
「なす、はなび」
こっくり
「はなび!」
こくこく
「はなびっていいなー!」
ぱちぱち
器物百年を経て精を得る……だから、百年も経ていない一年程ではまだ喋るまでには至れないのだろう。それでも、気持ちは伝えたいのだろう。一つ花火が上がる度、夜空の花を指差してこまめに説明するだるまるにその都度いちいち頷き、手?とも言えない細い手で拍手をして気持ちを表そうとする微笑ましい姿にさえ…

…むかつく

「なんだよあのなす、だるまるを独り占めしやがって…」
仲睦まじいその様子はまるで普段の高崎と宇都宮のようで、そう思うとだんだんそのヘタすら宇都宮に似ている様に思えて来て大変腹立たしい。いっそしぎ焼きにして食ってやろうか、幸いここには串も火もたっぷりある。さぞや立派なしぎ焼きが出来るだろうと、金串を8本、両手の各指の間にぎちりと挟み、ゆらりと立ち上がろうとしたところで…
「……羨ましいです…まるで…」
上越先輩と東北先輩みたいです。
ぽつりと長野が呟いた。
「はぁ!? 僕と東北ぅー?」
余りにも意外な言葉に串をぽろりと取り落としそうになった上越が
「何言ってるの長野!? 熱中症にでもなったの?」
慌てて回りの職員に水分と扇ぐ物を持ってくる様に声をかけるから
「ち、違います、具合は悪くありません!」
やれタンカだ医務室だ、それとも僕が抱えてとあたふたと指示をだす上越の心配を取り下げるため、長野はぱたぱたと顔の前で手を振って急いで説明をする。
「だ、だって、上越先輩、東北先輩とご一緒の時はあんな感じで細かく面倒見て差し上げてるし、東北先輩は東北先輩でなにも仰りはしませんがちゃんと一生懸命聞いていらっしゃいますし…」
「……いや、あれはその…面倒見るとかそういうのでなし…」
「分かります。ずっと見ていましたから…」
…まずい、端から見るとそうなのか?自分では以前と変わらずに相手に接して来たつもりなのだが…
上越の背にたらりと冷たい汗が流れた。
何十年がかりの片恋が叶ったのが一年と少し前。それから、恐る恐る距離を詰めて来て最近になって漸く、少し身構えずに相手と接せられる様になって来たのだが…それは端から見ると…

あんな、おせっかいなオカンみたいに、口うるさく見えたのだろうか。

それは良くない。かっこ良くない。いやさ、このままでは長野の教育にも良くないし、先輩の威厳が台無しだ。もっと突き放して以前の様にクールに接しなければ!と上越は固く固く決意した。しかし、長野はそんな上越の意気込みには気付かずに
「あ、あのだからそれはそれなんですけど、だから……あの…なすとだるまるはあのままで良いと思います…」ダメですか?
恐る恐る、けれど懸命に見上げて訴えて来る。
上越としては自分の見苦しい行いを突き付けられるようで、今すぐ金串をあのなすに叩き込んで酒のツマミを一つ増やしたいのだが、長野は本当にそう思っているのだろう、眼差しには冗談を思わせるものはない。そんな長野を見返し、そうしてだるまる達を見つめる。

また一つ、花火があがる。それはだるまるの大好きな機関車の花火だった。
だるまるはわーいと手を叩いて喜び、
「なす、SL!SLっていいなぁー」
自分の大好きな物を一生懸命伝えようとして指差している。そんな風にはしゃぐだるまるを見つめるもの言えぬなすの眼差しは言えぬからこそ余計、雄弁に気持を表していいた。
嬉しい。
楽しい。
そして……
あんなふうには自分の相手も自分を見てる?あんな、優しい瞳で……そ、そんなの…

恥ずかしすぎるじゃないか!

違う!断じて違う!アイツはあんな風に自分を見ない!だるまるは可愛いからあんな風にはしゃいで相手に構うのは微笑ましいが、自分のようなヒネクレタ年増男がそんな事をしていたのなら、はっきり言って……痛い…なによりうっとうしかったろう。だけど、アイツは無口の面倒くさがりーだから、それをいちいち自分に言わずにいただけなのだ。それに…最近分かった事だけれど、アイツはやっぱり自分より大事な相手がいたのだ。だ、だから、アイツがそんな目で自分を見ていたとするのなら、きっとその相手を思い出しての事なのだ。そうに違いない!だから長野にそう見えるとするのなら、自分の大好きな先輩達が仲良くあって欲しいという…そう、希望的観測なのだ!
だから、見当違いと誤摩化して一刀両断に切り捨てるのは容易い事だし間違いを正すのは良い事だ。しぎ焼きなんぞ時間がかかってまだるっこしい、バーナーで焼きなすにしたほうが早いだろう。バーナーがなければちょっと火炎放射器で…だけどだけどもだけれども…
「そうだね…長野がそういうなら今日のところは勘弁してあげよっか」
上越は構えていた串を下ろした。
だって、可愛い後輩がそういうのだ、今日1日だけはその誤解?をあの二人?ごとそのままにして置いて上げても害はないし、それも先輩としての勤めだろう。決してホントにそうだったらいいな、なんてアタタな事を思ってではない!ヒネクレ様にかけて断じてない!
「でも、今日だけなんだからね!」
「はい!」
さも、それが最後の譲歩だと強がって主張するのは上越の上越たる所で、だけど、それは照れ隠しでしかないのだと、赤くなった頬を誤摩化そうとぷいと顔を背け口を尖らせているのが何よりの証拠なのだと…だから、上越のそういうところが可愛いのだと周りも目の前の後輩すら思っているのを本人は知る由もない。
長野がそんな上越が嬉しくて微笑むと、上越も長野が嬉しそうなのが嬉しかったから、気を取り直して笑った。
二人、笑い合う。
……ちょっと思いはずれているが、まあ楽しそうだから良しだろう。
そこに、
「そんな物騒なものしまって一緒に見ようよー」
「てめぇが大人しく切られりゃなー!」
斬撃の鬼と化した相手の刃をひょーいひょーいひょいこらしょと避けながらまだ物騒な追いかけっこを続けていた八高が
「上官、最後の花火ですよ!」上越に声をかけた。
ヒュルルと最後の花火が上がっていく…
夜空を埋め尽くす大きな金色の花を皆と共に見上げながら、上越はそれでも面白くない思いをなすの代わりに自分の相棒で晴らそうと、相手に刺してやるために金串をそっと一本、内ポケットにしまった。

金色の花は最後に皆の顔を金に染めて消えて行った……


高崎の、屍も……



















 

 

 

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