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末期日記新装版
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驚いた事に、自然着色料なんですねー
巷では、あの青い物体にフォーリンラブしている皆様で一杯ですが、
うざきはまだ食べてません。だって気付いてなかったの。
それに今日は南北ちゃんのお誕生日なのに、何で副都心なのかなーといえば、残業にやさぐれてる方への貢ぎ物に書き始めたから。ライバルのお誕生日にはぐれるよね。
……多分。
そしてそれがどうしてこんな話になったのかは……

会長にでも聞いて下さい。

ではー

夜のラッシュも終わり、そろそろ終電に向けてもう一息かと言う頃、西武新宿は今日の夕飯は絶対これ!と決めていた某国民ゲームのモンスターの形の肉まんを無事にゲットして、彼らの首都の駅に降り立った。ここならば上手くいけば彼と双璧をなすもう一人のメイン路線に会えるだろうから、彼らの分の肉まんを渡せるし、よしんば会えなくとも駅員室に置いて伝言をしておけば受け取って他にも配ってくれるだろう。向こうの路線の小さな子供は可愛い外見を最初喜ぶかもしれないが、食した際の残酷さに泣き出すかもしれない。まあ、それはそれだ。

子供はそうやって強くなって行くのだと割り切って、主にそれを宥める役になるだろう双璧の相手の姿を探す。だが、姿勢の良い青い制服と金の髪の仲間の姿は見当たらず、見つけたのは

「なにやってんだこんなとこで?」

「別に田舎なら星も綺麗に見えるかなーと思っただけですよ」

仲間の路線に乗り入れている地下鉄の子供の方だった。

「でもこの辺じゃまだ見えないだろ」

「ええがっかりです」

子供といっても、既に彼らと変わらぬ青年の姿であるが、見た目はともかく自分達の仲間の子供と大して年齢は変わらないのだ、彼にしてみれば子供にしか見えない。

現に人様の路線に対して随分失礼な事を言う子供にあまり腹が立たないのは内容が子供じみているからだろう。

――星が見たいだなんて。

どこの都会のガキかそれとも女の台詞かと内心小馬鹿にしながらもああ、そういやこいつはまごう事なく都会のガキだと思えば何となくおかしくなって、ちょいと興味を惹かれてとなりに座る。

「なのにずっとここに座り込んで何やってんの」

からかうようにそう問えば

「……ずっと見てたわけじゃないのになんで分かるんですか」

口を尖らせそう返すのに、にんまりと口角が上がる。

わからいでか。

隣にある身からこちらに伝わる冷気はしんと冷えきっていて、それだけで白くなった指先も忙しげに動かす爪先等を見ずともこの子供が大分長い間ここにいた事を新宿に教える。

見え見えの負けん気だけで強がる子共等に付き合ってやる気は毛頭ない。どのみちこの子供が風邪を引こうと何をしようと迷惑を受けるのは双璧をなすもう一人であって自分ではないのだ。放って置くに限ると子供の問いを軽くスルーして話題を変える。

「地下の奴らは今の時期は寒いって上にあんま出て来ないじゃん珍しいなって思ってよ」

新宿にしてみれば地下の奴らは皆ぬくぬくと育った虚弱な現代っ子だ。しょっちゅう車両故障だなんだで迷惑をかけるソイツらを西武である池袋が気にかけるのかは新宿には理解出来ない。その皮肉も込めたのだが、相手には伝わらなかったらしい。他人事のようにやんわりと跳ね返す。

「それは、貴方の接続相手の事ですか」

むっとした。自分を棚に上げて何を言うか。

「アイツはそうでもねーな、地上部分長いから。だけど、アイツの弟がそうなんだと」

今日もそんな事言ってたなーってさぁ……

今日も”弟”の話をしていたそばかすだらけの接続相手の顔を思い出す。楽しそうなその顔を……

振り払う。

知らず庇うような口調になった自分に舌打ちしかける。

……落ち着け、こいつがあの相手を出して来たのは自分が唯一直に接続する地下鉄があれだからだ。決して他意があるわけはない。いいや、あってたまる物か、こいつも……自分も……

「そういや、今日ソイツの誕生日じゃなかったか?メトロでパーティするって浮かれてたぞ」

お前いかなくていいの?

動揺が相手に伝わらなければ良い。こいつは割と人の機微に聡い。子供だからと油断はしない。が、今日はどうやら余程凹んでいるようだ。

「…だから別に僕がいなくっても良いんですよ、今日はあの人の日なんですから」

普段隠そうとしている子供っぽさを隠さずにふてくされている様に……心当たりがついた。

「さてはお前、お前の大好きな先輩とやらにそう言われたな!」

今日はアイツの誕生日なんだからアイツに譲れとか

「…何言ってるんですか」

当たり前のように否定するが、この子供がこうまで感情を揺らす原因等一つしかない。

そして、これがすぐ上の”兄”と仲が悪い事も……

それこそ例の相手からため息まじりに聞いて良く知っているのだ。

うんざりする程。

この子供と接触のある自分は丁度いい相談相手と見なされているらしい。

だが、それが鬱陶しいのに……いつも話を聞いてしまう自分に一番うんざりしている。

そういえば、さっきも妙に慌てて、こいつを見かけたら教えてくれと言っていた。

「図星!図星だろう!なあ!」

はっはあ!このガキが!

誰が教えてやるものか。こんな楽しい事を。

だから……その憂さ晴らしだったのかもしれない。過剰に子供を囃し立てたのは。

それは彼にしては珍しい迂闊さで……

「何言ってるんですかって言ってるんですよ!」

僕はガキじゃありません!

余裕をなくした子供が掴み掛かってくる……

抱えていた暖かな袋が落ちて、腕の中がすうっとする。

ああ、ここはこんなに寒かったのだと余所事のようにおもって……

唇に冷たい温もりを感じた。

――馬鹿だな、こいつ……

こんな冷える位ここにいて……

口付けられていると言うのに、冷えた胸はなんの動揺も高揚もなく……

冷静に、そんな事を思った。

唇を触れ合わせるだけの雪のように冷たく口づけが解かれると

「……ソウイウトコがガキだって言うんだよ」

頭冷やせや

いつもの口端だけが釣り上がる平静な笑顔で……全く、冷静な声が冷たく告げる。子供はそこに……己の期待するような何の熱も色もない事に……傷ついたように顔を背けた。それでも

「……冷えてますよ、ここ寒いですもん」

そんな減らず口を叩くのは傷ついたと己に認めたくないからだろうか。新宿はうっそりと微笑んで、落ちた袋を拾った。多少ひしゃげているが大した事はない。それより……

今日こいつは何回ひしゃげただろう?この中の饅頭のように子供である自分に。

そうそう世の中がお前の思い通りになってたまるか。

所詮、お前のやる事等子供の我が儘だ浅知恵だ。

それを思い知らせるようにねっとりと

「なのにここにいたのは先輩に見つけてもらいたいからだろ?ここならお前の先輩も通るし、お節介が伝えるかもしれないからな」

「お節介って」

「池袋が案外おせっかいなのはお前もうわかってんだろ?」

それ狙ってんだから

大人の意地悪さでそれを暴く。案の定黙り込んだ子供に

「よ、確信犯」

だからガキだっていうんだよ。

己の醜さを突き付けてやる。

「探しに来て欲しいんだろ?ソイツの誕生日より自分を選んで欲しいんだろ?」

子供に醜さを突き付けるのを残酷と言う大人もいるが……

新宿は突き付けたくてしょうがない。

暴いて晒して思い知らせてやりたい。

「……見て来たように言わないで下さいよ……」

貴方に、何が分かるって言うんですか……

傷ついた瞳でこちらを見る子供にぞくぞくする。

きずついてきずついて傷ついて……うんと傷つけば良い。

「分かるから言ってんだよ」

自分よりも……自分が同情する位にそうしたら……

「どういう…」

「慰めてやろうか?」

あぶれもの同志さぁ……

 

うんと優しく……

 

すると子供の膝に手をかけてそうっとその身に乗り上げる。

伸び上がるしなやかなその動作はまるで猫の様で……

「なあ……副都心」

先程の口づけでも全く色をなさなかった小さな唇が、今度は意図をもってその名を呼ぶ。

滅多に呼ぶ事のない、己の名を……紡ぐその朱の唇を自分の舌で湿らせて子供を誘う……

イケナイ事をしないかと……

それを取り違える程、彼は子供ではなかった。

「しんじゅくさ……」

下から覗き込む瞳を隠す長い前髪がさらとゆれて……隠された瞳が微かに覗く……

初めて見る金の瞳のその引力にそのまま引かれそうになって……

「副都心!」

己を呼ぶ、この世で最も大事な声に彼は我を取り戻した。

「せんぱ……」

その声に向け首を捻れば、途端に今まであった濃密な気配は霧散して

「ほうら、大好きな先輩のお迎えだ」

賭けに勝ったな、営団のクソガキ

膝に乗っていた相手は、ポンと彼の肩を叩いてさっさとおりた。

いつもの事ながら、鮮やかな変わり身だ。彼が呆然としている間に、息せき切った彼の先輩は目の前にやって来て

「副都心!お前こんなところで!」

今にも掴み掛かろうとしそうなのを

「おう、営団の若造あんま怒ってやんなよ」

こいつちょっと拗ねてただけなんだからよ

「お兄ちゃんを取られてな」

ふざけた口調でとりなしたものだから、

「新宿さん!」

真っ赤になって叫ぶが、相手はどこ吹く顔で取り合わず

「はは!若造!あんまガキから目ぇ離すと西武に取り込んじまうからな」

気をつけろよ。

そんな気になる事を笑って言うものだから、余り聡い方でない先輩が

「え?え?どういう……」

戸惑いながら彼の顔と相手の顔を交互に見比べるのをまた笑う。そして

「ほれ、ガキんちょ、手ぶらじゃ帰りにくいだろ?これやるよ」

奴さんへのプレゼントだ。

手にした袋を彼に押し付けた。つい受け取って中を見ればひしゃげた青い物体が……

こんな、不気味な物体を持ち帰ったら却って何を言われるか分からないと彼がつい渋い顔になったのを楽しそうにケタと笑うと

「お前の所為でつぶれたんだから、責任もって食べろよな」

じゃあな、カラオケオールはまた今度な!

軽く片手を上げて行ってしまった。

手にした袋はまだ暖かい。その暖かさは冷えた身体に嬉しいが、だが何となく、その暖かさで誤摩化された気がしないでもない……

去ったその背を見送る彼に、恐る恐る声がかけられる。

「…あ、副都心そのな…」

その先の言葉は容易に想像がついて…彼は先手を売ってその言葉を奪う。

「さっきはすみませんでした、先輩」

なんで、今までその言葉がでなかったのか、そして何故これ程容易く言えるのか……

只何となく、いつまでも拗ねているのが馬鹿馬鹿しくなったのだ。

そう、あの人に言われなくとも分かっていた。自分が拗ねていただけなのだと。分かっていてそれを認めないのは何よりも子供っぽいように思って……素直に謝れば、かの先輩は却って慌てたように

「い、いやその…あれは俺が悪かったよ、すまん。東西にも甘やかすなって言われたし、それより南北が……」

喧嘩相手の名を出して来てつい眉尻が跳ね上がる。

「南北さんが?」

「誕生日だから勝ったわけじゃないって、自分のが正しいから勝ったんだって」

すっごい怒ってた。

聞いて冷えた身体が熱くなる位腹のそこが煮えくり返った。

あん畜生!

「先輩!早く帰りましょう!一人でいい格好なんかさせてたまるもんですか!」

自分がいなければすぐに己に都合のいい事を言い出すのだあの相手は!あれが自分の兄だ等と決して認めはしない!

あくまであれはライバルなのだ。

何となくやる気になっている後輩にちょっと戸惑いながらも生温く見守る先輩は、優しく微笑むと

「そうだな、それにしても新宿には悪い事したかな」

アイツとカラオケ行く話してたんだろう?

的外れな事を言って来た。

……そう言えばそんな事を最後に言った。あれが彼の言う慰めであったと言う事なのか?しかし、前のときを鑑みれば絶対にそんなの慰めにならない。口を尖らせ訴える。

「……いいですよ、あの人と行ったらまたアニソンオールだったんですから」

「ならいいけど…」

それでも人の良い先輩はまだ気になるのか言葉を濁す。それを誤摩化すように背中を押して、やって来た自分達の車両に押し込んだ。

「ほら、急ぎましょう先輩!ヒーローは最後に登場するんですから」

「押すなって!」

大好きな相手と戯れながら、耳の奥にあの声がこだまする……

(慰めてやろうか?)

常にないつやを増した声は甘く、こびりついて消えそうもない。

――ねえ、ホントにカラオケだったんですか?

あの言葉の意味は……

そうでない事に彼は確信を持っている。
何の感情も伝えなかったあの小さな唇の感触を思い出そうとして指でなぞる。
だが……
思い出すのは只冷たい柔らかさだけ。
何の情も欲も……想いもない。受け入れているように見せて……拒絶していた。
そんな相手が、どういうつもりであの言葉を告げて誘って来たのか……
気になるのは……

(あぶれもの同志…)

電波といえども、嫌電波であるからこそ強固な絆で結ばれた仲間のいる相手が、何故そんな事を言ったのか……それは彼には及びもつかない。が……何となく分かるのは……

 

――ねえ貴方は何からあぶれたっていうんですか?慰めて欲しかったのは…淋しかったのは…

 

貴方だったんじゃないんですか?


それが分かれば……あの気まぐれな相手のホントウに少しでも……

近づけるのだろうか。

 

「ホントに貴方はくえない人だ」


相手に渡されたひしゃげた青色にそう呟いた。
 

だが、近づいたとして、自分がどうしたいのかは……

それこそ子供の彼にはまだ分からぬ事であった。

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